2代目として工務店を引き継ぐが10年ほど前から売り上げが低迷。
その状態を打破しようとリフォームショップを開くが来店者はなく2年で閉鎖。そこでチラシ集客を試みるが経費を考えると踏み切れない。
それが今、リピートや紹介はもちろん、新規集客もコンスタント入るようになった。なぜそのような成果を上げるようになったのか、安田さんに極意を伺う。
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工務店の売り上げが落ちたので、リフォームショップを開くも失敗に終わった。
― 安田さんがお父さんの工務店を引き継いだのは、いくつの時ですか?
まだ親父が社長ですから、引き継いだことにはなってないんですけど、親父は体が悪くて、耳も遠いし、足も悪いんです。それでお客さんと話をするのがしんどそうになってきたので、自然と社長のような仕事をするようになりました。それが30過ぎくらいですね。なので、15年くらい経つんですが、10年くらい前からジワジワと売り上げが下がり始めてきて、何かしないといけないな、という気持ちになってきたんです。
― 先ほどお伺いしたら、一度リフォームショップをやられたとか・・・。
はい。ちょうど叔母が不動屋さんをやっていて、その叔母が亡くなったので、そのお店をリフォームショップにしました。規模は10坪くらいあったんですが、元が不動産屋さんなので、その仕様のままでやりましたから、とにかく反応はありませんでしたね。一応ミニコミ誌とか新聞に広告を出したりしたんですけど、そんなに甘いもんじゃなかったですね。それに自分が工務店の仕事で現場に行くと店は空っぽだし、人を雇えるほどの余裕もなかったし。でも家賃とか光熱費は寝ている間でもどんどん出ていくし。やっぱり固定費というのは怖いですね。それで2年で閉めました。
― じゃあ、安田さんが現場に行っているから、リフォームショップは空ですか?
空です。僕が住んでいる家の近くだったので、嫁さんが手伝ってくれると思っていたら、ちょうど子供が生まれたところで。その子育てもあるので、そこまで店に出てもらうわけにもいかないしで。
― それからどうしたんですか?
ジワジワと売り上げが落ちていくので、「何とかしないといけないな」と思って、チラシを作って集客をしていこうと。でも、お金もかかるし、何かしんどそうだし、僕には無理だな、と思いました。そのとき、ある人に既存のお客さんに送っていたニュースレターを見せたら、「『あなたレター』になっていない」と言うんです。それで、「『あなたレター』って何ですか?」と聞いたら、木戸先生の名前と「なぜか挨拶だけで・・・」の本のことを教えてくれて。それで本屋でその本を探して買って、先生の本を読ませてもらって。これだったら経費はかからないし、『あなたレター』の方がこっちの方が楽しそうだし、作れそうだし、と思って。それで今までのニュースレターを『あなたレター』に変えて、お客さんに送る方がいいな、と思って、モエル塾に入ったんです。
モエル塾に入って、『あなたレター』やお客さんへのインタビューを始めた。
― 本を読めば『あなたレター』は作れると思うんですが、どうしてモエル塾に入ろうと思ったんですか?
先生の本の後ろに「『あなたレター』のフォーマットをプレゼントします」と書いてあったので、とりあえずメルマガを申し込んで、そのメルマガにちょうどファミリーメンバーを募集していたので、モエル塾に入った、と思います。
渡りに船というか、心のよりどころみたいなのが欲しくて、モエル塾に入ったんです。だから、入る時も躊躇などはしませんでした。
― モエル塾に入ってみて、実際どうでした?
初めて勉強会に行ったときは、訳がわからないままで終わって、周りがすごい人たちに見えました。すごく緊張しましたね。
でも何回か行くと慣れてきましたね。ファミリーだから年2回、他のメンバーの方と会うのも楽しいし、先生にもその都度いろんなことを教えてもらえるし、日頃と違うことを味わえますよね。異業種の方もいるので、そういうのが刺激になりますね。
― モエル塾に入ったことで、やったことって何がありますか?一つは『あなたレター』を始めるようになったことですよね。
それと商品の案内レターとか手書きのチラシとかそういうのも教えてもらったし、お客さんのインタビューもやるようになりました。それは『あなたレター』を続けていて、人間関係ができているからできたと思いますけど。
― 6つの質問をして、というインタビュー記事ですね。実際にお客さんにインタビューしたり、写真をとったりするのは、初めてですよね?
インタビューしたのは4人なんですが、こっちはリフォームの話を聞こうとするんだけど、お客さんの方が、「昔はこうだった」とか「ここの商店街は昔は年末なんかすごい人通りだったんだよ」とか、全然関係ない話をしてくるので、それを何とかリフォームの記事に持っていこうと思うんですが、そういうのをいろいろ聞けると、「それでいいや」と思いますね。
こんなことまで話をしてくれるんだな、というのが嬉しいですね。
― 「リフォームのインタビューをしているのに、なんで関係ない話をするんだ!」と思わずに、嬉しい気持ちになると思うのは素晴らしいですね。
いろんな話をしてくれたら、「この人は自分のことを信頼してくれているんだな」と感じますからね。
『あなたレター』を手渡しできるようなり、人との会話が楽しくなってきた。
― 安田さんは職人さんですよね。職人さんは、『あなたレター』を郵送じゃなく手渡しすることに、抵抗がある方が多いんですけど、安田さんはどうでしたか?
初めはもちろんありました。モエル塾で「何で手渡ししないんですか?」と聞かれて、別に営業マンでもないのに工事以外で家に行くとか感覚的にないし、行くと「暇だと思われる」とか「足元を見られる」とか、そういう感覚は正直ありましたね。でも、たまたま見積りが入ってちょうど『あなたレター』ができていた時に一緒に持っていったら、その時に「読んでるよ」と言われてすごく嬉しかったんです。それに先生が「行きやすいところだけ行ったらいいよ」と言ってくれたので、とりあえず行きやすいところだけ行くようになりました。行ってみたら、「ありがとう」とか「ご苦労さん」とか言われて、今まで何を怖がっていたのかな、という感じですね。逆に僕の顔を見て、喜んでくれるんだな、というのがわかりました。
― お客さんに会うのに抵抗がなくなってきて、安田さんの中で気持ちが変わってきたことはありますか?
人に強くなってきたとか、そういうのはあります。お客さんとしょうもない話ができるようなったというか、今までは向こうから話してくれたら、しゃべっていたんですが、こっちからふることはなかったんです。それができるようなった。子どもの話とかお孫さんの話とか、『あなたレター』を渡しているから家族のことを知っているので、向こうから「お子さん、大きくなったね」と言って来てくれるんで。商売抜きの付き合いができるようになってきましたね。何か、仕事が楽しくなってきた感じです。
― 新規のお客さんにも『あなたレター』を手渡しするんですよね。問い合わせが来て初めて会った時に渡すんですか?
そうですね。問い合わせがあったお客さんの家に行って、ある程度会話して、「この人とはお付き合いしたいな」と思ったら、最後に渡すんです。
人間関係ができていたら、どんな仕事でも大丈夫だな、と確信した。
― このレポートのタイトルにある、「たったひとつの意識とは?」ということなんですが、この答えは何なんですか?
人と人の関係というか、それを大事にすることだな、と。それをしていたら全部うまくいくんだろうなというのは感じますね。
― 商売だから上がり下がりはあるでしょうけど、その下がった時に人間の本性がでるというか、あたふたしたり焦ったりすると思いますが、安田さんはそういうのが全然ない。どうしてなんですかね?
関係さえちゃんとしていたら、商売は波があっても、人と人との関係というのは波がないですからね。親父は「お前、工務店なんかいつでもやめていいんだぞ、なんか他の商売をしろ」と言ってくれるんだけど、例えば、行商で軽トラに魚を積んで売ったとしても、『あなたレター』を出しているお客さんはたぶん買ってくれると思うんですよ。そういう人と人との関係ができたから。「安田さん、おいしかったよ」と言ってくれたら嬉しいだろうな、と。それもいいかな、と思います。
― 安田さんの中でそこがストンと落ちたと思うんですよ。人と人関係だけなんだな、と。だから心配がないというか。
何でもできるな、と。何かそれがわかったというか、先生の言うとおりストンと落ちた。それはお陰様で勉強させてもらいました。
― すごくというか静かに、自信がもてるようになったと思うんですが。
人と人の関係とか、人にフォーカスをするとか、もちろん『あなたレター』も人のことですよね。そんなことを洗脳されたから、それがストンと落ちたんでしょうね。
― 最後に5年前の安田さんのように、売り上げがジワジワ下がってきて、何かしないといけないなと迷っている人に一言、言うとしたら何と言いますか?
「『あなたレター』を作って、人間関係を作る、それを作ったらなんかいけるで」と。時間はかかると思うんだけど、僕もまだ偉そうなことは言えないけど、たぶんそれは自信を持って言えますね。単純に人間関係を作っていたら、売り上げは後からついてくるし、信頼関係がなかったら、工事している最中はしんどいんですよ。人間関係があってコミュニケーションができていたら、1のことを言ったら10がわかるし。
― 中には『あなたレター』をやっているんだけど、人間関係というのが何かよくわからないし、売り上げにもつながらない、という人がいるんですけど、今日の安田さんの話の中にその答えがあると思うんですよ。 それは、安田さんは何でもない話を自分の方からできるようになって嬉しかったとか、お客さんの方から何でもない話をしてくれたのが嬉しかったとか、商売に関係ないところで嬉しさを感じているんですよね。そこを焦りすぎちゃって、売り上げ売り上げってなっちゃっているから、せっかくお客さんが関係づくりを作ってくれるような言葉かけしてくれているのに気付かない。
そこが見えてない、スルーしているんでしょうね。
― このCDを聞いている人もすごいヒントになったと思います。お客さんの雑談、どうでもいい話が出てきたら、そこをちゃんと聞いて、そこが関係づくりの一歩だから、「なんだ、話してくれた、嬉しいな!」と嬉しい気持ちになるといいですよね。これはものすごい深くて、大きい気づきでした。
安田さん、今日はお忙しいところ、ありがとうございました。
ありがとうございました。