保険会社に入った当初は、それまでの人脈から好成績を上げていたが、5年目頃から営業活動がマンネリ化。テレアポの電話を持つこと自体がストレス。
紹介や追加をもぽんぽん出るわけでもない。結果、成績もだんだんと落ちてきた。
そんな三好さんが今では、売り込み一切なしで毎週2~3件の相談が舞い込み、わずか1年で成績が2倍になったという。
売り込みをしないでどうして契約になるのか、その秘密を三好さんに伺う。
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営業スタイルのマンネリ化で成績が落ちて、知人の紹介でモエル塾に入った
― 保険会社に就職した当初の成績はどうだったんですか?
私が今の生命保険会社に入って今年で12年目なんですが、前職が地元の信用金庫だったので、最初はベースがあったこともあり順調だったんです。でも5,6年目を過ぎると緩やかな右肩下がりになってきて・・・。
― 右肩上がりではなく、右肩下がり。それはどんな要因だと思いますか?
飛び込みもやっていましたし、テレアポもやりましたし、ご契約いただいているお客様のところに追加を行く形の訪問もやっていました。
ずっと長いことやってきて、まだこの飛び込み、テレアポをやっていかないといけないのかな、とすごいストレスなんですよね。嫌なんですよ。
もうテレアポの電話を持つこと自体もイヤなのに、なぜしないといけないんだろう、と。生活のために、というのでずっとやっていましたね。
既契約の方のところに回るしかなかったので、そうなるとそこで紹介を依頼したり、追加をお願いしたりするんですけど、出てくるわけじゃないので。どんどん先細りになっていくんですよ。
― そうすると、やっぱり飛び込みしかないかな、という感じですか?
そんな中で何か違う方法はないのかな、と探していたら、モエル塾の塾生である山下義則さんのセミナーをネットで見て、行ってみたんです。
そしたらそのセミナーで山下さんが「師匠、師匠」と呼ぶ方が木戸さんだったんですよ。私は山下さんの“売込みをしない、人間関係を作っていけば、自然と売り上げがたつ”というやり方がすごく自分にも合っていると感じていたので、その山下さんが師匠と呼ぶ木戸さんとぜひお近づきになりたいと思って、それでモエル塾に入ったんです。
― いくら紹介とはいえ、モエル塾に入るのに躊躇したりとかなかったんですか?
正直、その時は全然なかったので、僕は多分、モエル塾メンバーの中ではちょっと変わったタイプだと思うんですけど、『あなたレター』というものも知らなかったし。
木戸先生のことも知らなかったし、何かスッとメンタ的なことを言われてもスッと入ってきたので、躊躇はなかったですね。
― 実際にモエル塾に入ってみてどうでした?
木戸先生から携帯にいきなり連絡があって、「よろしくお願いします」と言ったら、「ところで『あなたレター』は作りましたか?」と言われたんですよ。
『あなたレター』がよくわからない、と言ったら、「じゃあ、7つのステップというのをメールで送りますので、それを見たら絶対作れるので」と言われて、丸1日がかりでベースになるものを作りました。
それを西垣さんに添削してもらって、10月か11月にモエル塾に入ったんですが、12月には第1号が完成したんですよ。
『あなたレター』をお客様に送付して、いい反応と悪い反応を経験した。
― 初めてに『あなたレター』を見た時、抵抗はなかったんですか?
めちゃめちゃ抵抗がありました。こんなのを相手が見たいと思っているのかな、とか、嫌だな、と。自分の恥というかこんなことを相手に伝えないといけないのかな、というのはすごくありました。家族が「また、変なことを始めて」と言ってるし。
でも木戸先生から「モエルの象徴は『あなたレター』です」と言われたし、これを作らないと、モエルにいる意味がないのかな?と思ってやりました。300通作ったんですが、どうしても手渡しできなくて、全部郵送で送りました。
― そこら辺の受け入れ方はすごいですね。
それで、何か起きたんですか?
第1号を送ったら、ちょうど着いた頃にいきなり電話が立て続けにバンバンと入って、「ちょっと入院保険を考えているので、家に寄って」とか。
そしたら立て続けに9件くらい仕事の話が来たんですよ。『あなたレター』はすごい!と思いましたね。
― 9件の仕事が入ってきても、まだ『あなたレター』に抵抗感はあったんですか?
それで調子に乗って、第2号目を翌月に出したんです。そしたら今度は悪い方の反応があって、会社のカスタマーサービスセンターにクレームの電話が入って、誤りの電話を入れたら、「こんなのを送ってほしいと言っていない、私は保険会社と保険の契約をしただけで、あなたのこういうのを送ってくれという依頼もしていないし、こういう売名行為的なことは止めて」と。これには、めちゃめちゃ落ち込みました。
― 1回目で天国かと思ったら、急に地獄になったんですね。
それで『あなたレター』はやめようかなとも思ったんですが、勉強会で木戸先生にこのことを聞いたらニコニコして「これで選別ができて、良かったですね。」と言うんですよ。
「なんて冷たい人だな」と思ったんですけど、「そういう取り方をすればいいんだ、送り賃がかからずに済むようになった」と思えばいいのか、と気持ちが持ち直したんです。
売込みをしない訪問により、お客様の方から相談が舞い込むようになった。
― では、相談依頼が次々に来るということについてですが、『あなたレター』を出すだけで来るんですか?それとも他になにかやっているんですか?
『あなたレター』を手渡しするんじゃなくて、それは郵送で送るようにして、それとは別にお客様のところに売込みはしない形で会いに行っています。「お元気ですか?」「最近、お変わりないですか?」と。
― 以前は、訪問はしなかったんですか?
前は商品を売りたいという目的で行っていたんです。でも今は本当に「元気ですか?」と確認しに行っています。
そうすると直接保険の話になることの方が少ないので、違う相談をされるようになって、最後は回りまわって保険の話になるという感じですね。
以前もそういう相談を受けていたのかもしれませんが、スルーしていて、全然頭に残ってなかったかもしれません。
― お客さんから相談が来るのはいいけど、対応できるか心配はなかったんですか?
最初は私もそうだったんですよ。全部自分でやろうとして、深みにはまったりして、逆に良くない方向に進んでしまったこともありました。
その時、同業者の先輩の方から「そこまで深入りしちゃダメだよ、人につなげてあげるだけで、そこを求められているんだから、そうしないと自分がしんどくなるよ」とアドバイスをもらって。本当にそうだと思って、人と人をつなぐだけにするようにしたら、すごく自分も楽になりました。
― まだ、「売込みゼロに変えたら売り上げが倍になって、相談依頼が舞い込んでくる」というイメージができていない人がいると思うんです。それをイメージできるように教えてほしいんですが。
『あなたレター』を送っている方から、相談とか「ちょっと来て」と電話があったら、そこを訪問する。電話がないときは、「お元気ですか?」という訪問をする。そうすると、向こうから話が来るという感じです。
― 現在、これを聞いている人の中には、私は売れていないから電話もかかってこない、と。また訪問をしても何を話したらいいか、わからないという方もいると思うんですが。
ご契約者さんはいると思うので、そこを保険の話をせずに訪問すると、違った展開になると思います。そこで『あなたレター』ってつくづくすごいな、と思うんですが、ああいうのを送っていると、向こうから話をしてくれますね。
気持ちの上で本当に売込みゼロを意識するようになり、訪問することが楽しくなった。
― 社長さんのインタビューをしていて、次の人を紹介してくれと頼んだら怒られた、というエピソードがありましたよね?
社長さんにインタビューをして、社長の輪を広げていく、というのをやろうとしたときに、インタビューでは気持ちよくしゃべっていただいていたのに、最後に「次の方をご紹介いただきたいんですが」と言ったら、「自分の大事な友人、知人を30分か、1時間会った君に紹介する理由はわからん!」と怒られたんです。
つくづく人間関係なんだな、と思いました。やっぱり経営者に会った時に見込み客と思っていたんですよ。そういう下心はすぐばれるんだな、と。
そこからはそういうのはなくそうと思って、しっかりその人の話だけを聞かせてもらおうと思ったら、自分の気持ちが変わりましたね。それから、9人まで紹介がつながったんですよ。
― 最初の時も売り込もうとは思ってなかったけど、見込み客としてカウントしていた。そこが重要ですよね。売込みはしていないと言いながら、見込み客としてカウントしていること自体が相手にも伝わっているんですよね。
三好さんが1年で成績が2倍になったのは何かすごいことをしているんじゃないかと思われがちですが、違うんですよね。とにかく売込みもゼロ、見込み客が増えたとカウントもしないという事ですね。
その月がダメだったとしても、翌月に倍になって返ってくるんですよ。だから、売込みをしないというのを徹底しています。
といっても、苦しいときとかはあるんですけど、売込みをしたい時というのは今でもあるんです。
― それ、リアルでいいですね。今でもあるんですね。
あります、あります。だけどもぐっと我慢して。ぐっとこらえても、たぶん顔に出ることもあると思うんですが。
「なぜ、入ってくれないんだろう」というような顔をどこかでしていると思うんですけど、でも顔を引きつりながらもニコニコして売り込まないというのを徹底しています。
― モエル塾に入って一番良かったなと、思うことはどんなことですか?
一つは毎月お客さんに三好のことをわかってくれるツールができて嬉しかったこと。
もう一つは仲間が増えたことがすごく嬉しいです。普通なら出会えないような全国の方と知り合えて、『あなたレター』に関して何でも言い合える仲間ができたことが一番ですね。
― 2,3年前の三好さんのようにマンネリでどうしても売り込まないでやろうと思っても売り込んでしまうという人にアドバイスするとしたら何と言いますか?
自分を信じて楽しみを何か見つけていくと、決めることだと思うんです。私の場合は、今まで売込みで来てたのに、「今日は売込みはないんだ」というお客さんの顔を見るのが楽しみですね。そういう方が増えていくのが。
― そういう楽しみ方もあるかもしれないですね。
営業マンの99%は売込みばかりなんですよ。その中で売込みをしないだけでも、「この人は他とは違うわ」と思ってくれる、相手のどんなリアクションを見て仕事をすればいいか、最後の一言で明確になりました。
三好さん、今日は急に来ていただいて、本当にありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。