今回は、「新規客獲得ゼロだったのが13人に増えた!
お客さんの方から商品の話をしてくるようになる方法」をテーマにした、杉山さんの話です。
目次
保険を解約して新規契約をとる「やり替え」をしていた保険代理店の杉山さん
保険営業を成功させるには、「新規のお客さんを開拓しなくちゃ!」と思うものです。
でも、「どこにいったらいいのか」「どんな活動をしていいのかわからない」と、悩んでいる人も多いもの。
生命保険の代理店を始めて13年の杉山さんも、そんな悩みを持つ一人でした。
保険代理店をずっと続けていて、状況が良い時もありましたが、
良くも悪くもない状態が、ずっと続いていました。
保険代理店を始めてから8年目になって、
「このまま同じ方法で営業しても、普通か悪くなる一方ではないか」と危機感を覚えるようになりました。
先行きに不安を感じていました。
既存のお客さんの契約をいったん解約して新規契約をとる「やり替え」もしましたが、何度も同じことを繰り返すと、お客さんも怒ってしまいます。
途中で病気している人は、保険の「やり替え」自体ができません。
保険代理店を始めた頃に比べると、保険料も安くなっています。
「安くなるので、変えませんか」と値段重視のアポイントをとって、保険をやり替えてもらっていました。
そうすると新規契約は一応とれるんですが、お客さんのボリュームは減少していきます。
杉山さんは、一つの会社に4つくらい訪問先がある、職域営業をやっていました。12時15分から1時までは、その会社内の4か所のいずれかを訪問します。
13年間、同じ会社を訪問し、雑談だけして帰る日が続きました。
周辺にも会社はあるのですが、昼休みしか訪問できません。
小さな会社なら、「ちょっと寄りました」と言って立ち寄ることもありました。
「何しに来たの?」と言われても、とくに話のネタもなく、
「こんな新商品が出ました」と、たまに言う程度でした。
飛び込み営業をやめ、既存顧客から保険の相談・契約へ
それでも担当している職域で、ボチボチ契約もとれていたので、
「まあ、いいか」という気持ちも、正直いってありました。
保険会社で開催している研修も受講しましたが、
もう少し視野を広げてみようと思うようになりました。
同じ保険業界の山下義弘さんと言う人の本を買ったんですが、最初はビックリしました!
「保険の提案の時、こういったらいい」という本は、これまでも読んできました。
山下さんの本には、そういうことは全く書いてなかったのです。
書籍にインパクトを受けたので、山下さんが講演しているセミナーのDVDも購入しました。
その中で山下さんが『あなたレターは最強ですよ」と話していました。
「『あなたレター』って、何?」と思って検索したところ、木戸一敏さんのサイトにたどり着きました。
『あなたレター』がどんなものか、見てみたかったので、木戸さんのメルマガに登録しました。
「作ってみようかな」と思っていた折に、「東京でセミナーがある」という内容のメルマガが届いていました。
エントリーしたら、東京03の局番から、電話がかかってきました。
「このたびセミナーをすることになりました。あと残り1枠ですよ」と。
「値段はいくらなんですか?」と聞いたら「35万円」とのこと。
「すいません、そんなお金はありません」と、ビックリして断りました。
杉山さんは、北九州在住なので、飛行機に乗らないと、東京には行けません。
ただ興味はあったので、「どんな人が来るんですか?」と質問しました。
「保険、リフォーム、教材の会社の方などが来ますよ」と言われ、
「みなさん、お金持ちなんですね。
お金持ちの人が参加するセミナーなんですね。」と答えました。
「そう思うでしょ。でも違うんですよ。みなさん必死で、“これが最後”と、これにかけているんですよ」と言われたんです。
残1枠だったので、「じゃあ、私も参加します」と即決しました。
実は杉山さん、何もわからないで東京のセミナーを受けに行ったのです。
途中、何度も「帰ろうか」と思いました。
遅刻して、参加者が昼食をとっている時間に到着し、
その雰囲気を見て「面白そうだな、やってみようかな」と。
『あなたレター』を作っている人もいて、
「これ、作ったんよ」と見せてもらい、
「これでいいんだ」と思いました。
『あなたレター』を最初に作った時、
「完璧!」と思って見てもらったら、
「全然、違うんだよな」と言われてしまいました。
「そうやってみんな、勘違いするんだよな」と言われて、
「私、教わってないんだけどな」とちょっとカチンときました。
自分の顔写真を載せたのですが、作り笑いでした。
それで「違う!」と言われたのだと思い、修正して使いました。
最初はあまり経費をかけたくなかったので、
お客さんのポストに入れたりしました。
既存顧客は150世帯くらいでしたが、30~40件ポスティングしました。
150世帯全部やらなかったのは、経費節約のためです。
単純にポストに入れやすい30人に、ポスティングしました。
6年くらい会ってない方に、第1号を入れ忘れたので、
第1号と一緒にポストに入れたことがありました。
そうしたら、すぐにメールがきました。
「久しぶりだね、ちょっとあんた、
顔が広そうだから相談があるんだけど」と。
「1回、土曜日でもうちに来てくれんかね」と反応があったのです。
バツイチの男性で、「あんた、顔が広いから誰かいい人紹介して」という相談でした(笑)
土曜日に、私服で訪問しました。何も持たず、手ぶらで。
そうしたらそのお客さんは、結構立派なお寿司の会席を用意して待っていました。
お見合いみたいに、紹介できる女性がいるわけではないのですが、
心あたりがあれば紹介したいので、いろいろ質問しました。
「どんな人がタイプなんですか?」
「ご両親はお元気なんですか?」
「出身はどこですか?」
「ご兄弟は何人ですか?」など。
質問したら、嬉しそうにベラベラ話してくれました。
「誰かいい人いたら紹介できるので」と、写真撮影もしました。
そういった話が一段落した時に、お客さんの方から、
「あっ、そういえばがん保険」という話が出て、ビックリ!
「あっ、今日実は何も持ってきてないんですよね。
作ってきますので、またいいですか?」と伝えました。
それが『あなたレター』を始めて、2ヶ月目の出来事でした。
保険の継続率97%を達成した、保険営業のコツ
保険業界で“未納”といわれるお客さんがいました。このお客さん、過去に2度保険料が引き落としにならなくて、
保険契約が失効になった経験もある方でした。
“未納”のお客さんは、だんだん振り込まなくなって、
結局解約してしまうケースになりがちです。
杉山さんは過去に継続率80%を切ったことがあり、
その数字を取り戻すのに、2~3年かかった経験があります。
継続率が80%に達しないと、ボーナスが出ない保険会社もあります。
3年と1か月以内に保険の解約があれば、
コミッションを返さないといけません。
口座から引き落としできず、未納になった時は電話します。
でもなかなか電話に出てくれないんです。
2ヶ月に1回、そのお客さんの職場の近くに行って、
「今月、2ヶ月分引き落としになります」と言っていました。
ところが、『あなたレター』を送るようになってから、
杉山さんが電話をかける前に、そのお客さんから連絡があったのです。
「ごめんね、今月はちゃんと口座にはいっているよ」と
携帯にショートメールが届いていて、ビックリしました!
現在も2ヶ月に一度の支払いですが、
何も言わなくても、払ってくれるようになりました。
一応、携帯へショートメールを入れると、
「ごめんねぇ~」と、返事が返ってきます。
それ以来、ショートメールで連絡とるだけで支払ってもらえるようになり、
わざわざ職場まで行く必要が、なくなりました。
『あなたレター』に、すっとぼけた親の話を書いたら、
「あれ、面白いよ」と言われたこともありました。
毎月、『あなたレター』を送ることによって、
杉山さんを思い出してもらえるわけです。
保険の継続率も97%になり、ボーナスの額も増えました。
最初は『あなたレター』に家族の話を書くのには、抵抗がありました。
自分は出てもいいけど、プライベートな家族は出したくなかったんです。
「別に家族じゃなくてもいいじゃないですか」と、反抗的でした。
正直いって嫌だったんですが、最初は言われた通りにやって作りました。
杉山さんには子供はいなくて、旦那さんとはうまくいっていませんでした。
「親に行けば?」とアドバイスを受け、
父母に協力してもらったら、ノリノリだったというわけです。
現在は隠し撮りして、旦那さんも『あなたレター』に出しています。
気がついたら、旦那さんとも仲良くなっていました。
杉山さんと同業の保険代理店の仲間も、
「昔の杉山さんはきつい感じだったのが、明るくなったわね」と話しています。
杉山さん自身が変わることで、家族との関係も変わったのでしょう。
真面目な性格の杉山さん。
以前は、仕事の先行きが不安で、イライラした気持ちもありました。
見込み客も少なかったので、
「やっと見つけた見込み客を逃したくない!」との思いがあり、
売り込みをして、かえって嫌われていました。
それで面白くなくて、さらにイライラしていました。
同じ保険商品を扱っている同業者がうまくいっていると、
妬ましいような、面白くない気持ちでいました。
保険の新規契約につながった営業トークのコツ
「喜んでくれるかな」
「いい結果を報告してくれれば、追加してもらえるかも」という
思惑があって、何度かお客さんに電話をしました。
「増えているのはすごく増えているんですけど、
忘れられていると思うし、もし良ければ、今の商品の説明をさせてください」と。
外貨建ての商品なので、わかりにくいかなと思ったんですね。
「内容を確認してください」と電話で伝えたら、
「いや、大丈夫です、自分でわかりますから」と
ガチャっと電話を、いつも切られていました。
「今の現状を確認して頂きたいので、説明させてください」と
アポをとろうとしても、「いいです」と、電話を切られていました。
そのお客さんのポストにも、『あなたレター』を入れ続けていました。
何ヶ月か経って、家の前に車が停めてあったので、
思い切って、玄関の呼び鈴を鳴らしてみたんっです。
そうしたら、「まあどうぞおあがりください」と言われました。
アポなしで訪問したのに、コーヒーやリンゴが出てきました。
その時は、資料も何もなく、『あなたレター』しか持っていませんでした。
お客さんの現状も確認していなかったので、
「大丈夫、増えてます」と話したら、
「ああ、それはわかっているよ」と。
お客さんが、いろんな話を始めて、
相槌を打ちながら、聞いていたところ、
「なんか他にいいの、ないの?」という話になりました。
手元に何も資料は持っていませんでしたが、頭には入っています。
「こういう商品がありますよ」
「この間は奥さん名義でされたので、
今後はご主人名義でされたらどうですか?」と伝えました。
その日は、本当に資料を持っていなかったので、
「今度の金曜日の2時くらい、またいいですか?」と言ったら、
「いいですよ」と、アポを取って帰ることができました。
金曜日の約束の時間に、資料持参で訪問したら、
「どこ、書いたらいいの?」って言われて、ビックリ!
『あなたレター』には、杉山さんのプライベートな話が書いてあります。
それを読んだお客さんも、自分のプライベートな話をしてくれて、
杉山さんは、オーバーリアクション気味で聞き役に徹しただけ。
そうしたら、仕事の話につながったわけです。
以前の杉山さんは、お客さんが間違ったことを言うと、
「いや、それは違いますよ」と指摘したりしていました。
現在の杉山さんは、相手の誤りに気づいても、
「さすがです。詳しいですね」と、相手を受け止めてから、
「こういうのもあるんですよ」と伝えます。
杉山さん自身には、子供がいないので、
「お子さん、どうですか?」と、興味を持つ気持ちがありませんでした。
セミナーや成功した人の体験談を聞いたりして、
「これではいけない」と思うようになりました。
それで、人の話をうなずきながら聞いたり、
肯定的な言葉をかけたりするようになりました。
以前は、「保険料を下げて安くなるし、内容も良いので入りませんか?」と
無理やりアポを取っても、お客さんとの間に心の壁がありました。
最近は、アポを取ってお客さんのところに行くと、
「そうしましょうよ」とか「その方がいいですよね」と
笑いながら、会話が弾むんですよね。
杉山さんは、電話でもメールでも、お客さんと会った時でも、
「〇〇さん、風邪ひかないように気を付けてくださいね。」と伝えます。
職域営業で保険契約がないお客さんにも、
「元気?変わりない?」「風邪ひかないように気を付けてね」と声をかけます。
それを続けることで、話しやすい雰囲気になり、
新しいお客さんを紹介してもらえるようになりました。
これまでお客さんではなかった方からも、
向こうから声をかけてくれたりして、新規顧客が増えています。
これまで0だった新規顧客が、13人に増えました。
杉山さんは、宅急便の配達に来てくれた人にも、
「寒くなっているから気を付けて下さいね」と声をかけるのが、習慣化しています。
保険業界で成功したかったら、外で営業戦略の意見を聞く
「申し訳ないけど、私は心が狭いので、
同業者の人に教えたくない」と、その場で断った杉山さん。
「私は保険の仕事が大好きで、ずっとしたいと思っている」
「将来は、法人さんの保険をやりたい」
「売り上げに悩んでいる経営者にアドバイスできるんじゃないのかな」
「それを実現するには、セミナーを開くことで徐々に慣れて、勉強する」
こうした話を聞いているうちに、杉山さんは、
「木戸先生を呼んで北九州でセミナーをしたら面白そう」と単純に思いました。
12月に九州でセミナーをやると決めて、
2月に開催するというスケジュールでしたが、
楽しみながらやり切って、42人集客したわけです。
杉山さんは10年以上、一人で保険の仕事をしていて、
どこか面白くないという気持ちもありました。
九州でセミナーを開催した経験を経て、
「みんなでわあわあ言いながらするのってすごい楽しいな」と
10数年ぶりに、実感したそうです。
保険会社から与えられた情報しか知らず、
それが正解だと思っている保険営業マンがほとんど。
保険会社から言われた通りのことをやって、
成功していない人の方が多いのも現実です。
外で違う世界を見て、他人の意見を聞くことも大切です。
人の意見を聞く前に、自分の話もしないと、相手は答えてくれません。
弱音を見せられる相談相手を作ることも必要です。
それが「ヒト」と「ヒト」の関係作りの第一歩かもしれません。