長年やり続けてきた個人のお客様への営業から、法人営業の部署に異動になった大石さん。「定期的に顔出しをするんだ」と上司に言われて実践するものの何度も訪問するうち、うるさがられたり居留守をされ、足が重たくなる。結局、契約が取れないまま1年が経った。
それが今、参考プラン作成依頼が、毎月6件も入るようになり、1件が成約。紹介も来るようになった。そこに至るまでの2つの秘密を大石さんに伺う。
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法人営業部に配属になり、銀行を回りはじめたが、どうしたらいいかわからなかった。
― 最初に大石さんの仕事の内容を教えてください。
以前はモデルハウスの展示場に来られたお客さんに対して営業をしていたんですが、去年の4月に法人営業部に異動になったんです。
それで営業の対象が法人相手になったんですが、主に銀行の融資の担当の方に営業に行って、そのお客さんである地主さんが持っている土地の有効活用をお勧めする、そういう仕事内容になります。
銀行以外にもモデルハウス以外の不動産屋さんにも営業をして、とにかく普段モデルハウスに来られない方たちの情報を拾い上げて成約に結び付けようというわけです。
― それで参考プランを作成するんですね。でも、法人相手の営業のアプローチの仕方がわからなかったということですが・・・。
はい。どういう風にして銀行の担当者に営業をして受注を上げればいいのかわからない状態になりまして、会社の方からアドバイスもなかったですし。
銀行に伺うわけですけど、最初は「私が担当です」と回れるわけですけど、2回、3回になると、忙しそうなわけなんですよ。現に「今、ちょっと…」とすまなそうな対応をされまして、ノーアポで行っちゃってますし、またアポイントを取っていくまでのことでもなくて。
雑談ができるほどの関係にもなっていないので、忙しいそうだと「また、来ますね」と言って、帰ったこともあるんですけど。それは苦しかったですね。こんなことを続けていても嫌だな、というのが1年くらい続きました。
― それがモエル塾に入るきっかけになったんですね。
はい。とにかく何とかしないと、と思っていたので。
モエル塾を知ったのは、菊原さんのブログに「経営コンサルタントの木戸さんから声がかかった」と嬉しそうに書かれていたのを見て、それで知りました。
それでメルマガをとるようになって、何か相談するなら木戸さんだと思っていたんです。
― モエル塾に入るのに、躊躇とかはなかったんですか?
すごくありました。私が勉強会に参加するなんて考えたこともなかったですし、何をやらされるんだろうって、すごく躊躇しました。
新しいことをやるのが極端に嫌いですから、でも思い切って清水の舞台から飛び降りたような気合で入ることにしたんです。
法人部に配属になって、宅建やFPの資格も取らないと信用がない、みたいな感じもあったので、10月に宅建の試験を受けてその勢いもあって、その後にモエルの扉をたたきました。
モエル塾に入って『あなたレター』を変えたら、反応がくるようになった。
― モエル塾に入って、どうでした?
まず、『あなたレター』ですが、それまで見よう見まねでそれらしきものは作っていたんです。1年で3号か4号ぐらいしか出していませんでしたけど。
それをブラッシュアップという感じで、スタッフの西垣さんに添削していただいて、変えていきました。
それまではお客様事例を右半分に載せていたんですが、そういうのは要らないと言われてザクッと削ったり、最後の締めくくりは「ありがとう、これからもよろしくね」という風に終わるようにしたり・・・。
― 『あなたレター』をシンプルにして、何か反応が変わったんですか?
まず不動産屋さんの方からはお客さんをご紹介いただいて契約になって、またその紹介者の会員の方たちと名刺交換をして、こちらからも依頼が来るようになりました。
― お客さんのほうからレターが変わったね」と言われることはあったんですか?
直接言われることはなかったですけど、「すごく、楽しいです」とか「毎回、楽しみにしています」とか返信のハガキに感想を書いていただくようになりました。以前はそういうことはなかったんですよ。やっぱり売込みに思えたんでしょうね。
今は「大石さんの顔ばかりになったね」と言われますね。
銀行の方も『あなたレター』を渡すのはちょっと抵抗があったんですが、ビビりながらも郵送していたんですが、「毎月のレターがいいね」と案件を紹介してくれるようになりました。
― 大石さんの『あなたレター』を見ていると、家族の関係がすごくよく見えるんですが、何か家族の変化はありましたか?
『あなたレター』の最初の読者は家族ですから、面白そうだと思えたんでしょうね。長女と三女が自分の新聞を作るようなりました。
以前はいいことばかりが書いてあったので、恥ずかしくて見せていられなかったんですが、今はいろいろ言ってくれるようになりました。
毎日その日に会った方にハガキを出すようになって、それが楽しみになった。
― タイトルにある2つの実践の一つが『あなたレター』を大幅に変えたということですが、もう一つの実践とは?
それは銀行や不動産屋さんに行ったその日に会った担当の方に、手書きのハガキを送るということですね。それは木戸さんに電話相談で言われてやるようになったんですけど。
― どういうことを書いているんですか?
「今日はこういうお話を聞かせていただいて、ぜひ参考にさせてもらいたいと思います」とか、どこどこ出身だと聞くと、「以前行ったことがありますが、食べ物がおいしくていいですよね」とか、他愛のない内容です。
― ハガキを出すことによって変化はあったんですか?
銀行の方はハガキが着いた途端に電話があったり、不動産屋さんの方は「大石さんが何が優れているのかが、わかりました」なんてすごく大げさなリアクションをしてくださる方もいらっしゃいました。
だから、たかがハガキなんですけど、されどハガキですよね。すごいインパクトがあるんですね。
― ハガキをやるようになって、大石さんの気持ちの変化はありましたか?
毎日の一つ一つのことを大事にしたいな、と思うようになりましたね。「届いたらどういう感想を持つだろうな」ということも思いますし・・・。
行動を起こすことによって、自分にも楽しみが生まれるというのはいいですね。
私がハガキをやりましょうよ、と言った時に抵抗はなかったですか?
最初はそんなの意味ないんじゃないかと思いましたし、面倒くさいなと思いましたよ。
でもやってみたらいいリアクションがあったので、現在も続いているんです。
『あなたレター』を変えたら、自分自身も変わり、楽しいと思えるようになった。
― これを聞いている方の中で「来月、君は法人営業になりなさい」と言われた人がいるとしたら、何とアドバイスしますか?
基本は同じなんじゃないかな、と思います。やっぱり「ヒト」と「ヒト」関係ですから。私の場合はリクエストに関して答えられるように有活に関する勉強はしなくてはいけないわけですけど、それ以前に人の気持ちが動いて、「あいつに頼んでみよう」と思うところは全く同じなんじゃないかな、と思います。だから『あなたレター』でいいと思います。
それにプラスハガキも出すようにすると、一つ一つの出会いと商談を大事に思うようになると思います。
― 話は前後しますが、『あなたレター』をガラッと変えましたよね。以前のは完全武装していてよく変えられたな、と思ったんですが、どうして変えられたんですか?
前に作っていたものがなぜ途切れ途切れだったかというと、きれいごとばかり書いているレターだったんです。だからなかなか作れなくて苦しかったですね。
だから、変えたかったんだと思います。
― 銀行の方に『あなたレター』を渡すのを抵抗があったとおっしゃってましたが、よく渡せるようなりましたね。
不動産屋さんの反応も良かったですし、銀行の方にも渡してもいいんだと思えるようになりました。
― 法人営業になって行くところがない、何回も行けない、何をどうしたらいいかわからない、そういった昔の1年前の大石さんに、何をどうアドバイスしますか?
まず、モエル塾に入りなさい、一人で悩んでいてもいいことはない、同じ悩みを持った仲間と勉強会をしたりすると何か突破口が見つかるし、一人でいても何も考えは進まないから、勇気を持って一歩踏み出しなさい、と言いますね。
気持ちとしては“楽しい”に向かうということですね。うまく言えないですけど、どっちにしようかと悩んだ時に、儲かる方とかうまくいく方ということじゃなくて、“楽しい”という方にフォーカスして、そちらに向かって行った方が結果もいいんじゃないかな、という風な気がしています。
― 名言ですね。こっちが儲かるかな、とか、こっちがうまくいくかな、という選択ではなくて、こっちが楽しい、そう思うところに行こう、ということですね。
これはグッときました。本当にありがとうございました。
ありがとうございました。