母の美容室を継いで10年になる三村さん。2年前、売り上げが低迷から脱しようと広告やDMを出すが、これも思った以上の反応はない。そこで他社との差別化を図ろうと増毛・育毛のシステム導入や泊まり込みの社員研修をするが一向に売り上げは回復しない。
こんな状態あった美容室が90日で利益20%アップに成功し社内の雰囲気も一気に明るくなった。2年の売上低迷からの脱出の軌跡を三村さんに伺う。
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売り上げアップのために、いろんなことを試したが上手くいかなかった。
― 三村さんは、どんなご商売をされているんですか?
母がやっていた美容室を引き継いで10年になります。2店舗あって、スタッフは10名ほどいます。
― 駅から3分で立地もいいですし、かなり大きな店舗なので、経費も掛かりますよね。
家賃だけでも45万くらい。もともと700万くらい売り上げてた時はどうってことなかったんですが、売り上げが低迷して来ると何とかしないと、と思うようになりました。
― それで2年間もがいていたということですが、具体的に売り上げアップのためにどんなことをされていたんですか?
まず「ぱど」という地域誌に広告を打ちました。最初の頃はやればやるほど、お客様も新規の方は増えて、一時は100名くらいお見えになりましたね。ところが、だんだん効果が落ちてくると、2,30人とかまで、落ちてくるわけです。
これじゃやる意味もない、と。さあ、どうしたもんかな、ということで次は、顧客リストからDMを出しましたが、それも売り上げアップにはつながりませんでした。
― 差別化を図ろうとシステムも導入されたと聞きましたが?
アンチエイジングの時代なので増毛や育毛のシステムも導入したんですが、即効薬にはならなかったですね。100万円の投資費用もかけたんですが、リターンはなしでした。
社員教育にも力を入れたんですよ。高級ホテルに泊まり込みでの研修に参加してもらったり、かなり費用もかけました。
― 低迷の原因というのは、競合するお店が増えたからなんですか?
どの地域でも起きてることで、それは関係ないんだろうな、ということが自分の中にありまして。
美容室といっても、同じものを売っているお店はほとんどないわけで、本当に良さが理解されて、スタッフの感じが良くて、居心地がいいということであれば、繁盛するし売り上げアップにつながるだろうな、と思っていましたね。
― スタッフとのコミュニケーションを図ることをしたということですか?
社員教育には特に力を常に入れてまいりました。費用も投資して、宿泊で高級ホテルに泊まり込みをしたんですが。
礼儀作法は身に付くんですが、しょせん上辺だけで、心の中までは直りきってない、というものはありましたね。まあ社員にしてみれば行かされたという感じだったんでしょう。
2年間で社員が独立して、スタッフがほぼ0になってしまったということがありまして、それがかなりショックでしたけど。密かに画策してたんですね。社員を引っこ抜いて近所にお店を開いて、私は何も知らなくて。
モエル塾を知って、前向きにやってみようと決心した。
― 「もうダメなんじゃないか、もう止めよう」と思ったことはなかったんですか?
朝、みなさんが鏡をご覧になって自分の髪の格好が良ければ気分がハイになって、幸せな気分になれる。そういう幸せ感を私は売っているんだ、という確信がありましたので、低迷しているのは何かやり方や心のあり方が違っているだけなんだろう、と探し求めていました。
― すごく前向きですよね。そうやって探し求めていた時にモエル塾を知ったんですね。何がきっかけだったんですか?
インターネットで検索していて、“反響率1/50チラシ”というのを見て、「何じゃこりゃ!」と興味を引かれてクリックしたのが始まりでしたね。
今までの経験上、チラシを1万枚を撒いて10人くらいの反応があるのはわかっていましたが、内容が変われば50人に1人が反応してくれるようなやり方もあるのかな、と思いました。
― それで興味を持っていただいて、モエル塾に入ろうと思った時、躊躇したりはなかったですか?
費用とか、あまり知らない組織に多額のものを払うのはちょっと・・・と抵抗がありました。でも最初に話を伺った時に、切り口が対人間という私が今まで苦手な部分だったので、すごく新鮮でしたし感動しました。もっと学んでみたいな、という思いを持ちました。
― 実際にモエル塾に入ってみてどうでした?
最初の説明会でチラシのサンプルを見た時に、すごくバタ臭かったので、「これは来るのかな?」という思いと「もしかしたら来るかもしれない」という両方の思いがありました。
いただいたチラシが建築系のものだったので、美容室とはイメージが違ったんですが、読んでみると面白いし、ある種のインパクトをすごく受けました。
アップセールをしてもほぼゼロだったのが80%の確率で購入するように!
― 実際に反響率1/50チラシを作ってみて、どうでしたか?
あまり深く考えずに、いろんな方の文面を見つつ、とりあえず書いちゃえという意識で完成させて、撒けば何とかなるだろうという大雑把な考えで作りました。
完成したものを見た時は、これを人に見られるのは恥ずかしいなと思いましたね。
でも「まあ、200人くらいの話だからいいか、やっちゃおう!」と。これを撒けばきっと光が見えてくるだろう、と木戸さんを信じて。
― たくさんいらっしゃるお客さん200人に配ったんですね?それはどういう基準で選んだんですか?
何回かお店にいらしているけど、自分の担当ではないお客さんを選びました。近い関係の人には恥ずかしかったので、少し距離が離れた人に郵送しました。
― 何か変化はありましたか?
私は自分の担当でないお客様はレジで見送りをするんですが、あちらから「読んだわよ」と声をかけていただいたんですよ。ビックリしました。
一気に空気が昨日の友のような縮まり方を感じて、自分の担当のお客様を超えたぐらいのインパクトがあって、すごく嬉しかったですね。それも一人じゃなかったですしね。
自分のお客様との接点も一気に縮まって、信頼関係が本当に強い絆になっているんだな、と深く感じましたね。
― スタッフの方は何かおしゃっていますか?
最初は「そんなもの撒いて、効果あるの?」と冷ややかな反応だったんですけど、お客様の対応が変わっているので、みんなビックリしてましたね。
担当じゃない私がフレンドリーに話していて会話が弾んでいるので、「じゃあ、みんなもやろう」ということになりました。
― 売り上げ的な変化はあったんですか?
今まですと「こういうパーマメニューを始めたんですけど」と進めると「いやー」とか「次、無くなったらね」とか、絶対に反応しなかったですね。パーマも勧めても「じゃあ、今度」と流される方がほとんどだったです。
それがチラシを渡してからは「こういうパーマメニューを始めたんですが・・・」とあまり説明もしてないのに、「じゃあ、それやって」と、けっこう出るようになりましたね。
シャンプーも「これ安全でいいですよ」とお話するだけで、買ってくれたりして。確率的には80%ぐらいでしょうかね。お話すれば、そういう方々に関しては反応していただけますね。全く、営業が楽というか。
たった1回のチラシで、それくらいのことが起きているので、ビックリでした。
自分の周りの人、そのまた向こうにいる人への言葉がけができるようになった。
― 今までは新しいシステムを導入しても機能しなかったのが、今回は機能するようになったとか?
商材に特色があるというのもあると思います。今までは有害物質を含んだパーマ液とかカラーの薬がメインだったんですが、今度はそういう物を含まないもので、スタッフの健康も良くなるということでスタッフも前向きに取り組んでいるんです。
対人間にフォーカスして温かい環境になったし、スタッフに対しての思いやりとかが浸透してきての導入なので、機能したのかな、と思います。
― どんなに商品はよくても、コミュニケーションが取れていない人からいくら言われても心に響かない。コミュニケーションが取れている人だからこそ、機能したんですね。
あと勉強会で、「奥さんに感謝の気持ちを言う」とコミットメントしましたよね。あの瞬間、三村さんの思考回路が変わるスイッチが入ったと確信したんですよ。
木戸さんが忙しい時に社員につれなく対応したという体験を聞いて、まさに自分が妻に対してやっていることだな、と気付いたんですよ。妻が一番頑張ってくれているのに、感謝とかねぎらいがなかったので、これを改善しないといけないだろうと。
まずは妻に「ありがとう」と面と向かって話をして行こうと決めて実行しました。
― 先代の社長は関係作りの達人だったけど、三村さんはそれが苦手だった。それで技術をとことんまで磨くことを追求した。とことんやった人だからこそ「ここは大切なことだ」と気づかれたと思うんです。
去年までの三村さんのように、いろんなことをやっているんだけれどもうまくいかない。そういった方にアドバイスをするとしたら、何と言いますか?
木戸さんの話は非常にわかりやすいです。木戸さんのお話に共感された方は成果が短期間に出てくるので、一緒にやっていければなと。
― 私の宣伝をしていただき、ありがとうございます(笑)苦手な関係づくりをやろうとすることは捨てて、技術にいったわけですよね。それをもう1回チャレンジしようと思ったのが素晴らしいですよね。同じように関係づくりが苦手だという人はこれをやった方がいいよ、というのがあったら何がありますか?
言葉がけですね。社員に対してもお客様に対しても、すべてがそこからスタートしますから、即明日からでもできますよね。お客様にもご家族のことを尋ねたり、スタッフにも家族や彼氏に対しても言葉をかけています。
旦那さんがいる人、彼氏がいる人、いろんな意味でその本人を超えたところにフォーカスをするようになりました。
― 目の前にいる人の後ろにいる人を見るというのは、素晴らしいですね!これは、ちょっと意識をすればすぐにできることですね。三村さん、今日はお忙しい時間にお話をさせていただいてありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。