「ここに入って人生変わりました!」と言われる売れる社員育成法

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始めて雇った従業員がお客様と喧嘩をしてしまう…

― 独立をして、即スタッフを雇い始めたんですか?

最初は一人でしたね。家族に全部頼んで。受付と助手みたいな形でやってもらって。母にも手伝ってもらってやっていました。1年くらい。
ちょうどその時に、妻が妊娠したので。中々(クリニックに)出て来れなくなったので。急遽、本当に誰でもいいからって形で雇ったんですよ。

― 初めて人を雇用するというの、どうだったんですか?

雇ったら雇ったで、実際に指示できないんですよね。上手く伝えられない。(雇用した)彼女もかなり気が強くて。患者さんと喧嘩を始めているんですよ。
「ええぇ!」と思って見ていると、歯磨きの指導をしているんだけど、患者さんは一向に聞いてくれない。
(歯を)磨いて欲しいからって感情が強く出てしまって、怒りに近い状態になっている。元々彼女が、気が強いっていうのと、口が達者だったので患者さんを言いくるめたい。っていう感情が出ていたんだと思うんですよ。
そういうのが多々あるので。注意しなきゃいけないんですけど、出来ない。

― それは、どうしてですか?

怖い。怖いのと、言えないみたいな。半年くらいして、このままでもやっぱりまずいな。でもやっぱり言えないな。話してみようかな。と思ってはいたんですけど。話すキッカケがなかったんです。

恋愛相談から話せるようにはなったけど言いたいことは言えない

― 話が出来るキッカケは何だったんですか?

木戸と吉良の対談

たまたま彼女が恋愛相談をしてきたんですよ。「上手く行ってない」とか「昔はこうで」みたいな愚痴。それをずっと聞いていて。そこからなんとなく雰囲気が変わってきて。
最初は30分だったんですけど。そのうち3時間くらい。毎日。夜11時くらいまでお互いずーっと喋っていたりとか。しょっちゅうやっていました。
その1年後くらいかな。助手さんを雇おう。と思って入れたんですが。今度は育てないといけないじゃないですか。
その立場を1番目の彼女が担わなきゃいけないんですけど。その彼女の悩みの質が、2番目の彼女を育てること。
彼女どんどん。新しく入ってきた子の「出来てないことだけ」を言うわけですよ。正しいことを述べてくので。(新しく)入ってきた子が萎縮してくわけですね。
かといって、それも指摘できず、僕自身もどうやって育てればいいか?その頃全然わかんなかったんで。(新しい子は)半年後には辞めていた。

― 辞めたことに対して、彼女は?

彼女自身は「新しく入ってきた彼女が悪い」自分じゃなくて、相手がやる気がないから。
正論なんだけど、「そうか、この性格に合うような子、強い子じゃないと駄目なのかな?」
とか思ったり。まだまだ言いたいことあったけど、言えない。
言っているのは正論なんだけど、言い方を変えるともっと響くのに、なんで変えないんだろう。というのが一番(ストレス)でしたね。

教えるんじゃない、育てればいいんだ!

― 人を雇うのは辞めようと思うことはありました?

木戸と吉良の対談2

彼女の妹さんがたまたま同じ職業で。どうしても手があかないんで、と話したら。「来ます」と言ってくれて、妹さんが入ってきました。
その後にもう一人、歯科衛生士を雇ったんです。凄く笑顔がよくて可愛い、素直な子だったんですけど。やっぱり(元から居た)姉との相性が合わなくて。
姉の方が。強く言い過ぎてしまうんですよね。1年間頑張ってくれたんですけど。結局中々覚え切れなくて。そのために姉も、ストレスが凄くたまってしまって。
その間に入ってる妹の方も、「私は頑張ってやっているのに、なんであんた出来ないの?」と姉の方に加担してしまって。
その頃になると(自分は)そこそこ喋れたので「出来ればそこまで強く言わずに、時間かけてやった方がいいんじゃないの?」とは言うんですけど。
やっぱり先に口が出てしまい、(そんな)状況を1年間繰り返した後に、辞めてしまったんですよね。怒りもありつつ。かなり虚しさがあったんですよね、全体的な雰囲気で。
こんなに一生懸命育てたつもりなのに、育て切れなかった。なんでだろう?
(姉も)相手のせいにはしているけど。色々セミナーとか、一緒に出ていたので。そのときには、かなり知識もあったし。
実践をしていたつもりだったけど色々手を変え、品を変え、やっても育て切れない。出来ていると思っていた時だったと思うんです。
その1年後くらいに、今度は経験者で歯科衛生士もう一人、入ったんです、3人目が。
その時はみんなで育てるよ。という形でやったんですが、これが前の子に比べて非常にクセがある子で。最初の感触が一切、笑わない。
自分の事を話さない。嫌な顔をすぐ、感情をすぐ顔に出してしまう。その上、自覚がないので「私そんなこと思っていません」っていう風に言ってしまう。

― それでも辞めなかったんですよね?

姉の方が待てたんですよ。怒らないで待てた。例えば、ちょっと周りが見えなくて。掃除あそこの部分を先にすれば、凄く手順よくなるのを。教えれば普通は出来るじゃないですか?
(でも)教えても中々出来ない。段々、怒りに変わりますよね。なので、教えるんじゃなくて。そこは育てればいいんだよって話をして。
「じゃあここを早くするには、どうすればいいかなって聞き方してごらん。言い方を変えて」とアドバイスしますよね。

― 教えるんじゃなくて、育てる。いいですね!

そこの部分が一番変わったところで。育てると。待ってなきゃいけない部分が多いじゃないですか?言っちゃうと早いんですよ。
言っても気付きがなかったり、気がついてくれなければ、受け取ってもらってない。そうすると怒りしか残ってこなくなっちゃうんですよね。

自分の悩みを
従業員に話す勇気が全てを変える!

― 従業員との信頼関係を作るのに、普段していることは何ですか?

木戸と吉良の対談3

場を作ろうとはしていますね。こっちが(話を)聞くような場。もしくはスタッフ同士で喋れるような場。
1日20分くらいずつ。週に1回、仕事を終わった後に個人面談。時間はフリーで。最短で10分、最高で3~4時間あったかな?
1回、全員解雇して新しい人雇おうかなと思った時期もあったんです。上手く行かなくて。やめたいな。それを正直にスタッフにそれを言っんです。
「どうしていいのか?わかんなくなっちゃった」って。それで、自分のやりたい事、病院の方針はこういうことですよ。どう思う?それに協力してくれるなら、居てくれ。でもその方針とちょっと違うのであれば、居ても苦痛なので。
自分のやりたい事をやった方がいいんじゃないのかな?と思うんだけどって言ったんです。

― 最初から「どうしたらいいかわかんなくなった」って本音を言えたんですか?

向こうが恋愛相談持ってきてるじゃないですか。かなり本音ですよね。だからこっちも本音言いやすかったんだと思います。(悩みを話すの)格好悪いですからね。
ただ真剣に聞いてくれます。(従業員は)格好悪いと思ってないですね。逆に信頼してくれたと、思っていると思いますよ。

― 社員との関係で上手く行かないと悩んでる方。社員との接し方。教えるんじゃなくて、育てる。時間をかけてもじっくりですよね。売れる社員育成法の良いヒントになったのではないでしょうか?
吉良さん、今日は本当にお忙しい中、どうもありがとうございました。

ありがとうございました。

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