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8月売上30万円、絶望的な状況からの始まり
Yさんからの相談でした。
独立して5年目のリフォーム会社を経営するYさん。小さなお子さんが2人いて、奥さんは専業主婦。毎月月末は貯金を取り崩してなんとか生活している状況でした。
Yさんの売上は、まさにジェットコースターのような状態でした:
- 8月:30万円
- 9月:80万円
- 10月:11万円
- 11月:300万円
- 12月:9万円
- 1月:3万円
- 2月:25万円
- 3月:400万円
年間売上約1,000万円。これでは家族を養うのは困難です。
Yさんの悩みは深刻でした。問い合わせがあっても契約にならない。相見積もりでは必ず負ける。価格競争に巻き込まれて利益が出ない。
でも、この絶望的な状況から、Yさんは驚くべき変化を遂げることになります。
12分間の一方的説明が招いた衝撃の真実
「なぜお客さんは値段の話ばかりするのか?」
この理由を徹底的に理解することが、Yさんの成功の鍵でした。
お客さんが値段の話ばかりするのは「警戒心があるから」なんです。
これ、あなたも経験ありませんか?
街で知らない人に声をかけられた時、反射的に「何の話ですか?」と聞いてしまう。まさに警戒心からくる反応ですよね。
この話をYさんにしたところ、こんな相談を受けました。
実はその契約にならないのは警戒心が大きな原因になっている可能性があります。
ただ、それが原因だとはなかなか気づけないものなんです。
そこで私はYさんに商談の様子をICレコーダーに録音することを提案しました。
とお客さんに伝えれば大概OKが出ます。
数日後、Yさんから連絡がありました。
そこで、録音を聞かせてもらいました。
すると…
お客さん:「塗装って何年ぐらい持つんですかね?」
Yさん:「はい、それは、施工方法によって大きく変わってきます。下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りを基本としているんですが…」
塗料の種類、耐久年数の違い、施工手順の詳細…と話が続きます。話し方はとても丁寧です。
時間を測ると12分間、Yさんが一方的に話し続けていました。
録音では音声しかわかりませんが、お客さんが飽きている様子が手に取るようにわかりました。
録音を聞き終わった後、Yさんに聞きました。
「どうでした?」
まさか自分がこんなに一方的に話していたなんて…
しかも、お客さんが『何年持つか』を聞いただけなのに12分も説明してしまって…
今聞いていて、自分でも『早く終わらないかな』と思ってしまいました
Yさが詳しく説明するのは、お客さんのことを理解しようとするより「自社の施工はしっかりやる」ことを分かってもらいたいという強い気持ちが出ている感じがしました。
そのことをYさんに確認すると「確かにそういった気持はあります」と答えました。
「○○さんはどう思われますか?」たった一言で変わった商談
数週間後、またYさんから連絡がありました。
「どんな感じですか?」
そこでどんな会話をしているのか聞きました。
すると、Yさんは「○○さんはどう思われますか?」を連発しているのが判明しました。
「○○さんはどう思われますか?」この問いかけはお客さんの気持ちを確認するとても大切な行為ですが、連発すると尋問になってしまいます。
どんな万能薬でも飲みすぎると毒になりますからね。
そこでYさんにこんな提案をしました。
相手が答えたら、まず肯定しましょう。
たとえば、お客さんが『やっぱり手抜きがあるんじゃないかって心配で…』と言ったら『そうですね』と言って、すぐに次の話に進まないで、
『確かに工事の様子を1日中見張ってるわけにいかないし、知識がないと正しい施工手順でやってるかもわかりませんからね』と肯定する。
それから『ご主人はその手抜きの心配をどうやって、この会社なら大丈夫だ、と判断されますか?』とお客さんの気持ちを確認する。
そうすれば尋問にはならず深堀りできるようになりますよ
人は誰しも「私が言ったことをしっかり聞いてくれる」と思わないと、その人を信用しませんからね。
Yさんは「上手くいかない原因がわかってスッキリしました!」といって早速実践に移りました。
成功の落とし穴:忙しさが招いた売上急降下
すると…次々と契約が決まり始めて、その月の売上300万円、翌月500万円と順調にアップ!
ところが、500万円を記録した翌月、売上が200万に急降下してしまいました。
私は違うと思いました。
そこで再び商談を録音してもらうことに。
それを聞くと…
- お客さんの答えを肯定していない
- お客さんの気持ちを確認していない
- Yさんばかり喋っている
といったように元に戻ってしまっていたんです。
その原因は忙しさにありました。
前月売上500万円になって忙しくなったYさんは、商談を短時間で終わらせようとしていました。
現場管理、職人の手配、建材の発注…目の前のことに追われて、気持ちの確認や肯定、話を聞くことがすっかりおろそかになり、いつの間にか説明だけになっていたんです。
そのことに気づいたYさんは、
とちょっと落ち込んだ様子でした。
でも、実はこの失敗が大きな財産になるんです。
一度成功したことで「もう大丈夫」と思っていたYさん。でも実際に失敗を体験することで、お客さんの気持ちを確認し話を聞くことの本当の大切さを身にしみて理解できたんです。
涙の70代女性が教えてくれた本当の営業
この経験を経て、Yさんは一人ひとりのお客さんに
- 気持ちの確認
- 肯定すること
- お客さんが喋る比率を高める
といったことをパーフェクトに実践するようになりました。
そんな時、70代女性のお客さんとの出会いがありました。
お風呂リフォームを検討していたそのお客さんがこんな話をしてくれました。
それでリフォームを考え、チラシを見て業者に連絡したところ、トラブルになってキャンセル。精神的なストレスが強く、それから1年経った話を聞いたYさんは、そのお客さんにこう言いました。
するとお客さんは涙ぐんで言いました。
この瞬間、Yさんは気づいたんです。今まではテクニックとして「気持ちを確認する」「肯定する」ことをやっていた。でも本当に大切なのは、心からお客さんの力になりたいと思うことだったんです。
一人に刺さるチラシが800万円安定受注を実現
70代女性との深い会話に感動した私は、Yさんにこんな提案をしました。
今までのYさんのチラシは、典型的な自社アピールでした:
- 「下塗り、中塗り、上塗りシッカリ施工」
- 「地域密着でアフターも万全」
- 「業界歴30年のベテラン職人が施工」
でも新しいチラシは、あの70代女性との会話をもとに作りました:
『お孫さんに「おばあちゃんのお風呂寒いから嫌」と言われて困っていませんか?』
『以前、チラシの業者でトラブルになった経験はありませんか?』
『そんなお辛い経験をされた方の笑顔が増えるようお手伝いいたします』
まさに、あの女性のための、あの女性にしか響かないチラシでした。
すると…
同じような悩みを持つお客さんからの問い合わせが次々と入るようになったんです。
みんな、あの女性と同じような体験をしていました。
しかも、問い合わせしてくるお客さんは最初から心を開いている状態。警戒心がなく、Yさんの話を素直に聞いてくれるんです。
相見積もりもほとんどなし。「Yさんにお願いしたい」そう言ってくれるお客さんばかりになりました。
この効果で、Yさんの売上は毎月800万円を安定受注するようになったんです。
今すぐできる:相見積もりで選ばれる実践法
Yさんの成功体験から、相見積もりで選ばれるための実践法をまとめます。
ステップ1:現状を客観視する
まずは自分の商談を録音してみてください。
とお客さんに伝えれば、大抵承諾してくれます。
Yさんも、録音を聞くまで自分が12分間一方的に話していることに気づきませんでした。
ステップ2:警戒心を解く基本を実践
お客さんが質問してきたら:
- 結論から答える:「一般的には10年から15年です」
- 気持ちを確認する:「○○さんはどう思われますか?」
- 答えを肯定する:「そうですよね、皆さんそう言われます」
この3つを必ずセットで行ってください。
ステップ3:継続的な改善
成功しても慢心は禁物です。Yさんも一度成功した後、忙しさで元に戻ってしまいました。
定期的に録音で客観視し、基本を忘れていないかチェックしてください。
最も大切なこと
テクニックよりも、心からお客さんの力になりたいと思う気持ちが大切です。
70代女性が涙を流したのは、Yさんのテクニックではなく、心からの言葉だったからです。
Yさんは8月売上30万円から年商1億円を達成しました。特別な才能があったわけではありません。お客さんの気持ちを理解し、警戒心を解き、心から相手のことを考える。
これらの基本を愚直に実践した結果です。
相見積もりで選ばれるために必要なのは、価格競争ではなく信頼関係の構築です。今日からYさんの方法を実践してみてください。きっと大きな変化が起こるはずです。