訪問販売なのにお客さんの方から声が掛るようになった!月2回のミーティングの秘密

開けても暮れても飛び込みばかりの毎日では、成績が安定せず営業マンが長く続かない。そこで、営業マンたちがもっと楽にできるやり方を探し続けるが、なかなか見つからない。それが今、訪問販売のスタイルでありながらお客さんの方から商品の話をしてくるようになり営業マンの成績は安定した。さらには、営業マン同士が助け合う良い雰囲気の集団に変わってきたという。その秘密を浅野さんに伺う。

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創業は37年前、その当時からもっと楽にできる方法を模索していた。

― 訪問スタイルで商品を販売しているということですが、商品は何になりますか?

健康食品それから宝石、女性の下着、補正下着がメインなんですが、そういうものを取り扱っています。単価的には一番安いものは1500円の歯磨き粉、高いのは宝石の600万ですね。それを営業マン7名で売っています。

― どんな営業スタイルで販売するのかもう少し教えていただけますか?

商圏が徳島県全県と淡路島なんですが、それを1か月に仕事をする日が15日~20日くらいなので毎日行けるように組んでいます。そこをマイクロバスで巡回していきますので、営業の人をそのエリアに降ろして、3時間くらい営業した後、また乗せて会社に帰ります。

― 1か月で全部回りきって、2か月目もまた同じエリアの同じところに行くと。それを繰り返しているんですね。みんなピンポンをしていくんですか?

新しく入ってきた人が新規の開拓をするときだけですね。あとはみんな顧客を持っていますので、そこを巡回するだけです。

― 初めて訪問販売をやる人にとって、ピンポンして世間話をして、そこからどうやったらいいか、わからないという方が多いと思うんですけど。そこはどうやって・・・。

基本的に世間話と言えば天気の話から入って、それから商品の話につながっていくのがほとんどですね。私は「訪問販売は行ってその時がすべて。行ってその日に売らなければ、次に行っても売れない」と言っていますけど、でも初回から売れるというのは少ないです。2回目3回目で売り上げにつながっていくというのが、ほとんどですね。

― 効果があると思えるものを3か月~半年、自分がまず飲み続けて体の変化を確かめてから、その商品を取り扱うようにすると。その根拠もすごい重要ですね。

私もそうですが、営業の人間も自分が扱っている商品は健康食品だったら全部飲んでますし、下着類もつけてますよ。そしていいと思った商品を勧めるというスタンスですね。

― 訪問販売というのは1軒、1軒飛び込みで行くんですか?

かつてはすべて飛び込みでした。でも「このやり方ではずっと続かない、もっと契約を取りやすくしないと」と創業時代から考えていました。
なので、いろんな本を読んだりしてそういうツールを探して、10年ほど前からまず顧客管理から始めて、次にニュースレターめいたものを出して、そこから本格的なニュースレター、という風に進んでいきました。

― 3年前からニュースレターを始めたということで、どんな効果がありましたか?

まったく効果がなかったです。結果的には今考えたら何も効果がなかった、と。でもニュースレターの流れでいったら変わるというのは僕自身の中にあったと思います。
だから木戸先生の本を見た時に「あっ、これだ!これだったら自分が求めている訪販を、みんなを楽にしてやれるんじゃないかな」と。
それまではニュースレターのひな形を買って出していたんです。でも先生に「名前を変えて出して通用するのは本当のレターじゃない」と言われたときに、僕が今までやってきたニュースレターが完成されたものが、木戸先生に教えていただける『あなたレター』じゃないかな、とその時に思いましたね。

毎月、1日と15日を『あなたレター』を作る日ということに決めている。

― それですぐモエル塾に入ろう!という感じだったんですか?

それは迷いなかったです。モエル塾に入らせてもらおうという決断は早かったです。早かった、というより「はよ、入らんか!」という焦りの方が先だったですね。

― 実際にモエル塾に入ってみてどうでしたか?

平成21年に入らせてもらって『あなたレター』を出したのが22年の5月からです。それまでは訪問販売の流れと『あなたレター』というのは全然流れが違いますので、みんなが嫌がっていたんです。

― 流れが違うので嫌がった、というのをもう少し具体的に教えてください。

結局、訪問販売といったら、攻めの仕事ですよね。攻めていったら売り上げが上がる、ベテランが多いですから。
今までレター作りに手間をかけてなくこてもよかったものが、レターづくりに手間をかけて自分で作っていくのが面倒くさい、これが一番ですよね。
そこまでしなくても売り上げは上がるだろうと、いう形の反発じゃないけど嫌がられていた。

― それをどうやって分かってもらったんですか?

先々を考えたら眠っているお客さんを掘り起こしていかないと、これから先は楽に仕事をできない、と思う。広げていくためのツールとして、『あなたレター』以上のものはないと、話をしていきました。
3か月間くらいは抵抗されましたけど、最終的には社長が言っているからやってみようかな、と嫌々ながら平成22年の5月から第1号がスタートするようになったんです。

― 『あなたレター』は各自、家で作るんですか?

最初の3か月くらいはそれぞれ家で作ったり、会社で朝や夕方に作ったりしていました。
でも先生から指導してもらってから、月の真ん中の15日に朝から『あなたレター』を(営業マンみんなで)作る日と決めて作ってます。
いつもの9時半からの朝礼のあとに、『あなたレター』をプリントアウトしたものに写真を貼ったり文章を書いたりしていきます。ぶっつけ本番で。
最初に比べて、準備をちゃんとしてきているので、早い人だと30分くらい、遅い人でも1時間くらいで作ってしまいますね。

― 1日『あなたレター』作りのための時間を割くのはもったいない、営業に回った方が仕事になるという思いはなかったのですか?

その1日を割くというのは先生がした方がいいというのでしたんです。もちろん、もったいないですけど。それでも先生に言われたから、『あなたレター』をものにしていくたけには先生に言われたようにしていくのが早いですから、それは迷いもなしに、やりました。

― 1日レター作りに時間を割くことに営業マンのみなさんは抵抗なかったのですか?

あまり仕事したくないのか(笑)、遊ぶ方が好きですから。かえって、その方が喜んでます。毎月15日に『あなたレター』を作って、月末までに私が全員共通の裏を作り、コピーに出すので、1日にみんな(営業マン)と一緒に透明の袋に入れて発送しています。
みんなで、いろいろ話をしながら袋詰めしていると、すごくいいコミュニケーションになりますね。

― 『あなたレター』作りを各自に任せてやるんじゃなくて、みんなでやるというやり方に変えてからの変化というのは何かありましたか?

楽しく『あなたレター』作れるようになったというか、嫌々作るんじゃなくて、今までは言われたから嫌々作っていたのが、作ること自体が楽しい。そしてみんなで「ここ、どう思う?」とお互いに話ができますから。やっぱり楽しく作れているんじゃないかな、と思います。
和気あいあいと、女の人ばかりの集団ですから、女の人ばかりだとあんまり仲がいいとは言わないですが、ものすごく仲がいい集団になりましたね。悪くはなかったんですけど、ものすごく雰囲気がいい集団になりました。仕事での『あなたレター』の問題だけじゃなくて、仕事の話も改まってできないような、先輩に対する質問とかしています。

『あなたレター』を渡すようになって、お客さんの方から声がかかるようになった。

― タイトルにもあるんですが、お客さんの方から声がかかるようになったと?

以前は自分が扱っている商品がまずあって、世間話をしてそれに結びつける形の中で商品を説明していました。だから、お客さんの方から商品の話を聞いてくれるということはまずなかったですから。
それが『あなたレター』を持って訪問するようになって、もちろん案内レターも入っていますから、その商品の情報提供をしていますから、お客さん自身から「この商品、どうなの?」と聞かれる場合が目に見えて多くなっています。

― 世間話から上手に商品の話に切りだすことができない営業マンはどうですか?

当然、今言ったような形でお客さんの方から尋ねられますので、「その商品は知らない」というわけにはいきませんから、当然、商品の話に流れていきますから。確かに売りやすくはなると思います。

― 先ほど営業の方の波がなくなって安定してきた、という話を聞いたんですけど。

それは確かに安定してきています。毎月定期的に『あなたレター』を持って行ってますので、お客さんとの人間関係は確実に強化なものになってきていますから。

― 次のステップは売り上げだと思いますが、これからどんな風にしていこうか、考えていることはありますか?

今までは『あなたレター』を作って、送るのと手配りを別々にしていたんです。だから、手配りすることが主になって、仕事の方が二の次、三の次になっていた。
これからは全部を郵送にして、そしてターゲットを絞って行けそうなお客さんのところに手配りしようと思っています。

営業マンのほとんどは、元お客さんだった人!

― 商品数が数百あるわけですが、新人の方はどうやって商品を選ぶんですか?

もともとお客さんだった人がこの仕事をするようになる人が多いですから。

― えっ、お客さんだった人が「この仕事をやりたい」と営業マンを希望するんですか?

こっちから勧めたり、向こうから言われたりして、する人が多いですから、お客さんですから商品を飲んでいただいていますから、商品で結果が出てる人が多いからやってみようか、という人が多いから、そういう人は商品を選びやすいですよね。

― それはすごい話ですよね。先ほどの話で7人営業の方がいらっしゃると。7人のうち、何人の方が商品を気に入って始めた人になるんですか?

ハローワークから来た一人を除いて、全部です。
お客さんで自分が病気で、健康食品ですから治るとはいえませんけど、病気が治ったとか、体の調子が良くなったとか、そういう結果を自分が体験してこういう仕事をする人は多いです。ある意味、強い部分はあると思います。

― 最後に、営業マンにもっと営業がしやすい方法を模索しているんだけど、なかなかうまくいかないという経営者にアドバイスをするとしたら、何と言いますか?

アドバイスなんて、おこがましいですが、僕が考えるに『あなたレター』をお客さんのところに手配りで持って行って、お客さんとの人間関係を作っていけば、確実に売り上げにつながっていくという確信は私の長い経験の中からあります。
それは営業力とか営業のセンスとか、世間的に言われているような能力的なものは全く要らないんじゃないかと、そこまで思っています。だから、最強のツールじゃないかなと思っています。

― 社内で『あなたレター』を作るのが簡単なようで上手く機能しない会社もあります。その中で浅野さんの会社がみんなで楽しくレターを作るようになり、お客さんの方から商品の話をしてきて営業マンの成績が安定してた月2回のミーティングの秘密がわかりました。

 それは、ミーティングのもっと手前の部分にありました。粗利が高いからとか流行りだからといった理由だけの安易な商品選びではなく、自分自身が効果を体感できるものかという根拠を持った商品選びをしたこと。

そして新たなノウハウを会社に導入するとき、営業マンに押し付けてやらせるといった安易なことはせず、3ヶ月かけて熱意をもって営業マンに伝えてわり納得してから導入する姿勢。この2つがあるからミーティングが機能したことがわかりました。

根拠を持つものの考え方と、熱意を持って営業マンに伝え続ける姿勢が、営業マンに伝わり、お客さんにも伝わる。だから売れる。この好循環の歯車の回し方がよくわかりました。

浅野さん、今日はお忙しいところ、時間を作ってくださいまして、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。